参議院選挙のマニフェスト 環境テーマ別で比較しよう


はじめに

参議院選挙にむけてテレビや街頭演説では年金や福祉が多く語られ、環境に関する政策についてはなかなか語られません。NPO法人木野環境では、選挙のたびにマニフェストの環境分野の比較表を作っています。ぜひ参考にして投票に行ってください。衆議院選挙の場合、自⺠党のマニフェストが優れており、他の政党の内容は極めて薄いことが多いのですが、参議院選挙の場合は各党が内容を充実させていることが期待できます。

お読みになる前に

  • このレポートは2019年の参議院選挙に候補者を擁立した政党が2019年7月8日までに各政党がホームページ上で公開したマニフェストに基づいています。
  • NPO法人木野環境は、中立な立場で項目の抽出をしています。意図的なカットはしていませんが、項目が他の項目とまたぐ場合、カットしている場合もあります。ご指摘いただいた場合には変更などの対応も検討します。完全に網羅できていることを保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 安楽死制度を考える会、NHKから国⺠を守る党、労働の解放をめざす労働者党はここにまとめたテーマに関する記載が見当たらなかったため省略しました。
  • 日本共産党は、マニフェストには重点事項を記載し個別の問題については個別のwebサイトを設けています。この比較表ではマニフェストのみを対象にしました。

NPO法人木野環境の所見

  • 循環型社会をベースとした持続可能な社会の絵を描いている政党は残念ながらありませんでした。
  • 2050年に温室効果ガス80%削減を記載している政党はありましたが、それを実現するならば、ガソリン車の廃止、都市ガス利用の廃止、火力発電所(バイオマスを除く)の停止、石油エネルギーからの副産物としてのプラスチックや肥料生産などを具体的に検討すべきですが、業界を意識してか、そのような具体策に言及している政党はありませんでした。
  • 単一の主張をするシングルイシューといわれる政党では環境問題には触れていませんでした。国会では、政治家が決定していく事項は単一の主張ではないためシングルイシューの政党には無理を感じますが、一方で、単一の主張を意見して政治に反映させるしくみも必要だと感じました。(循環型社会をつくる党とかでてこないかな?)

学識経験者・環境専門家の所見

    【盛口満氏・沖縄大学 人文学部・教授】
    原発と廃プラスチックに対してのマニフェストが特に着目すべき点であると考える。 原発は、地震が多発する日本という特殊な立地条件を抜きには考えられない。そのため、安全基準が自称「世界一」 であるかどうかは判断基準にならないと考える。原発はウランの採掘に於ける環境汚染、核廃棄物の長期的な環境負荷 という、地域、時間を越えた環境問題と関連しており、その点を抜きにして、「今」の「日本」のエネルギー事情のみ から原発の再稼働推進や原発政策の維持を掲げてあるマニフェストは支持ができない。東日本大震災における原発人災 の汚染対策や人的被害への支援について触れられているかどうかにも注目したい。 廃プラスチック対策も、「今」の「日本」を越えた問題であるということは同様であり、さらなる規制が必要であろう。
    【梅澤隆氏・国士舘大学 人的資源管理論 IT産業論・名誉教授】
    マニフェストでは自民党および公明党の充実ぶりとバランスの良さが目立っている。とはいえ、マニフェストはバランスが求められるものであるかどうかについては判断が分かれるところだろう。 マニフェストにおいてどの党、グループも取りあげている原子力発電は、当然のことながら一つの焦点となる。ただ原子力技術という要素技術の人材育成にまで言及しているのは、自民党のみである。 原子力を続けるにしても、廃止するにしてもその技術を持った人材の育成と確保は不可欠である。確かに福島以降原子力工学関係の新たな教育機関も開設されている。しかしながらこれらの新設とこれまでの原子力関係の教育機関とが十分な入学者を確保できるか、さらには卒業したものすべてが、原子力分野に進むのかは疑わしい。そのため全国の原発の継続する、あるいは廃止するにしても十分な専門的な教育を受けた人材の質と量を確保できるかは問題として残るのである。 マニフェストでは無理にしても、原子力に限らず環境政策には、それを担う人材の育成から確保までの目配りが必要である。
    【F研究員・シンクタンク】
    何もない政党もあれば、公明党のように冗長な政党もあるので、単純に公約のテーマを、経済、医療福祉、人権、外交、環境とか分野別に文字数で割合観ると環境への力の入れ方がわかるかなと思いました。公明党でさえウエイトは低いのかもしれませんが。
    【友野和哲・関東学院大学 理工学部 化学学系・准教授】
    今年度になってSDGsに関連したリサイクルの講義依頼が増えていることから廃棄物・廃プラについて述べたいと思う。当たり前のように世界的にリサイクルが行われており,リサイクル資源獲得の競争が行われる中,環境汚染に直結する輸出入品に対する制限など,多くの問題がある。クジラの体内からみつかった大量のプラスチック製品はオゾンホール以上のインパクトがあったようだ。これら廃棄物の対策は喫緊であり,解決策に長い年月を必要とする。原発・温暖化などの問題に加えて,世界的に注目されている廃棄物や廃プラについて,マニフェストが見当たらないあるいは具体的な数字や方策を示していることが少ないことは,非常に残念である。これらの問題解決に関与するのは,おそらく現時点での子どもたちである可能性が高く,人材育成についても積極的に言及してもらいたい。環境を汚す廃棄物としてではなく,資源として再利用するためのSDGsを通した循環型社会の構築に関して積極的に意思表明してもらいたい。
    【服部静枝・京都精華大学 人文学部・教授】
    エネルギー政策を含めた温暖化対策が喫緊の課題である。パリ協定が発効し、今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」を目指すことになった。それを受けて長期目標を設定している政党もあるが、そこへ到達するための具体的な道筋が見えない。バックキャスティング手法を用いた、脱炭素社会を実現するためのロードマップのようなものを提示できないものだろうか。また、気温上昇2℃未満の達成さえ危ぶまれる中で、気候変動への「適応策」に言及している政党が極めて少ない。気候変動の影響が顕在化してきている昨今、温暖化の「緩和」のみならず、「適応」へのアプローチも不可欠である。それによって、結果として競争力が高まり、事業機会の創出にもつながると考えられる。

ごみ:廃棄物コンサルティング調査

環境教育

地域:地域開発

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